「もし、失敗したら面倒なことになるからやりたくない」
「なんとなく今までの方が良さそうだから、そのままでいいか」
皆さんも一度はこのように考えたことがあるのではないでしょうか?
今回はそのような考えに陥る理由の一つ、「現状維持バイアス」についてご紹介していきます。
現状維持バイアスとは?
現状維持バイアスとは
「大きな変化や未知なるモノを避け、現状を維持したくなる心理作用」のことを指します。
人間は、変化することを嫌う傾向があります。
その背景には※プロスペクト理論における「※損失回避性」が働いているからといわれています。
プロスペクト理論は、不確実性下における意思決定モデルの一つ。
選択の結果得られる利益もしくは被る損害および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデルである。
行動経済学における代表的な成果としてよく知られている。
※引用:Wikipedia
損失回避性は
「人は利益から得る満足度より同額の損失から得る苦痛の方が大きいと判断する」
という心理作用を指します。
100万円特するよりも、50万円損をする方が私たちの感情は大きく動きやすいのです。
この「損してしまうかもしれない」という不安が、無意識にも現状維持バイアスにかかってしまう理由です。
現状維持バイアスの症状が見られる事例
周りから保守的といわれる人や組織には、現状維持バイアスが強い傾向にあります。
例えば、あなたに新規サービスの訪問が訪れたとします。
その営業マンが紹介しているサービスは、あなたが知らないだけで有名なサービスであり、客観的に考えてもあなたが使用しているサービスよりも優れているサービスだったとしましょう。
この場合、営業マンが提案したサービスを導入しなかったことによる機会損失や損益が少なからずあるはずなので、結果としてはあなたの判断は合理的ではなかったと言えるでしょう。
では、なぜあなたは新サービスの導入を断ったのか?
おそらく「導入が面倒だから」「お付き合いのある業者があるから」など、導入しないための様々な理由を考えたのでしょう。
自身を取り巻く環境など、主観的な要因が、あなたの合理的な意思決定を拒むことがあります。
まさにこの考えのベースにあるのが現状維持バイアスなのです。
現状維持バイアスの対象法
ではどうしたら事前に現状維持バイアスに対して対処ができるのでしょうか。
主に以下の方法を知っておくと良いでしょう。
- 定量分析を行う
- アドバイスを仰ぐ
- 現状維持バイアスの存在を知っておく
1.定量分析を行う
複数の選択肢があるなかで、判断に迷ったら定量分析を行いましょう。
ビジネスにおいても日常生活においても定量的に判断できる要素は多いです。
「値段」や「耐久年数」、「運用コスト」などあげればキリがありません。
定性的な要素から判断をすることが悪いというわけではありませんが、客観的な事実を持って判断することを意思決定の軸にしておきましょう。
2.アドバイスを仰ぐ
利害関係のない第三者にアドバイスを求めるのも良いですね。
特に、1の定量分析を行ない、分析によって導き出された情報を元にアドバイスを求めればより、客観的なアドバイスをもらうことができるかもしれません。
あなたが、無意識のうちに陥っていた現状維持バイアスから逃れられるかもしれません。
3.現状維持バイアスの存在を知っておく
これは、もうすでにここまで記事を読んでくださっていれば問題ないでしょう。
現状維持バイアスの存在を知っているだけで、直感的に拒否してしまったり、なんとなくで意思決定してしまた際に、ふと考え直す時間を作ることができます。
最後に
現状維持バイアスは心理作用なので、誰でも陥ることがあります。
どんなに優秀な人出会っても、どんなに意志が強い人でも、少なからず現状維持バイアスに陥っているのです。
そのため、上記でも紹介したように「そもそも現状維持バイアスの存在を知っておく」ことが現状維持バイアスから身を守る第一歩なのです。
ことビジネスの世界で迫られる意思決定は、あなたの人生に与える影響を及ぼすことも大きいので、現状維持バイアスが強くかかりがちです。
バイアスとうまく付き合いながら、常にベスとな選択を目指していきましょう。